「確かにそんなことを言ってましたが……」

そんな自信なさげな私に、信楽さん言った。
「俺が言った通りだから、いま 君はここにいるんだろう?これは君の実力が掴んだものだよ。だって出した写真は、俺以外の写真だったじゃないか」

そう、私がこの青少年フォトコンテストに出した写真は信楽さんを撮ったものでは無い。

私が出した写真は、綺麗な夜空を眺める奏美の後ろ姿だった。
夜の中に白のワンピースで佇む、そのコントラストが綺麗に思えて撮った一枚だった。
それが私には旅行で撮った中で一番気に入った写真なので、応募するのはいい挑戦だと送ってみたのだった。

それで、賞を貰えるなんて思ってもみなかったのだ。
取りたいという意欲を持っての、応募だったわけじゃないから。
だから、ここまで来てるが授賞式に出ていいものかという気持ちがあった。

そんな私に信楽さんは気づいたのだろう、私とお母さんにこう話しかけた。
「少し早めですが、もう関係者は入れますので良かったら一緒に入りましょう」
その声に、後押しされるように私とお母さんは授賞式会場に足を踏み入れた。
そこには受賞者を登壇させるのであろうひな壇と、周囲にテーブル席。
ひな壇には受賞者の写真を大きく伸ばしたであろう、パネルが飾られていた。

そして、そこを見ていてお母さんが言った。
「遥香の写真はこれでしょう?」
送った写真は見せていなかったのだが、お母さんは直ぐに私の写真を当てた。
「よくわかったね、そうだよ。私が撮って送ったのはコレだよ」
そんな私たち親子会話を聞いていた信楽さんんは、お母さんに問いかけた。
「見せてもらってなかったんですね?それで、どうしてお分かりになったか聞いても?」

そんな信楽さんの質問にお母さんはニコッと笑って言った。

「遥香の写真は、この子の祖父と似た柔らかくも優しい世界観が広がってたので。あと、写ってる子ね。この被写体の子は、遥香の幼なじみですから」
そんあお母さんの答えに、信楽さんは頷いて言葉を返した。