まずは、出かける前にお祖母ちゃんの所に寄って、お祖母ちゃんを一枚カメラに収めてから出発した。
目指すは隣県の海辺の街だ。
そこは観光にも最近は力を入れているみたいだ。
しかし、昔お祖父ちゃんと行ったのは、南国のような見た目の道を通った先にある灯台のある公園とその先に続く海辺をひた走って、もう一つの灯台を見て、そこから海を眺めた。
そこにあるホテルに泊まって、その翌日には山のペンションに向かって行った。
昔と同じ旅程とホテルが予約出来て、私は思い出しながらその土地へと向かっていた。
「走っている間いいけど、止まると暑いな」
ついつい呟いてしまうが、一人なので答えはない。
それでも、けっこう楽しんでいて私はたまに止まっては、景色や花を撮ってみたりして目的地へと向かっていった。
朝に出て休憩しつつも延々と走ると、お昼頃には懐かしい光景の場所に近づいていた。
ふいに、目に止まった食堂に寄ってお昼を食べることにする。
海辺の今なら映ると言われそうな内装の地元感もある食堂は、人気があるのか混んではいたが一人なのですんなりカウンターに案内された。
「ご注文は何になさいますか?」
紺のカフェエプロンの似合うお姉さんに聞かれて、私は答える。
「店主のおまかせ日替わり定食をお願いします」
「日替わりですね!かしこまりました」
波の音が入ってくる、風通しのいいお店で私はのんびりとした気持ちでご飯を待つ。
するとカウンターの内側から、低めの声がして目の前にご飯が出てきた。
「お待ちどおさん。お嬢ちゃんみたいな子が1人って珍しいな。ま、ゆっくりしてって」
ニコッと笑うお兄さんが料理を作ってくれたらしい。