「私は、確かに寂しかったりしたこともあるけれどお祖父ちゃんもお祖母ちゃんも居たからね。それに、お母さんの仕事は誰でも出来ないし、立派な仕事だもの。尊敬してる」
私の初めて口にした母の仕事への気持ちに母は、少し涙ぐむと言った。
「ありがとう。お母さん、まだまだバリバリ働くから。遥香も自分のやりたい道を見つけて進みなさい。そのサポートは出来ると思うわ」
言い終わる頃には、母は快活に笑っていた。
そんな母は夜勤もこなす、ベテラン助産師だ。
何人もの妊婦さんを診て、生まれてくる子を取り上げてきた。
その仕事はとってもやりがいがあると思う。
母はいつも元気と優しさを持って、仕事をしているのだろう。
地元の医院に勤めているので、たまに母と歩けば母に取り上げられた子に出会うことがあるくらいだ。
どの子もお母さんは覚えていて、そこも凄いなと思っていたりする。
そして、父はそんな医院で検査技師をしている。
病院で出会って、結婚して、お互いにお互いを尊重しつつ暮らしている。
うちの親は、実はけっこう理想的?とも思っている。口に出しては言わないけどね。
私が疑問を持ったのも、きっとそんな仕事にやりがいを持って生きている両親を見てきたからっていうのも、あるのかもしれないなと思ったのだった。
こうして、過ごすうちに私は着々と準備を進め火曜日の朝、お祖父ちゃんの原付に跨って言った。
「行ってきます!」
その日も、真夏の青空が広がっていたのだった。