マロン、マロン! 智基くんが大切にしているマロン!!

 私はとっさにマロンを追って車道に出た。抱き上げて反対車線に転がれば助けられるはず!

「マロン! 実織ちゃん!」

 智基くんの声が聞こえる。

 大丈夫、私が助けてあげるからっ。

 マロンの背中に手が触れた瞬間、耳をつんざくようなブレーキ音と大きなクラクションが鳴り響き、体に激しい衝撃を受けた。大きくて激しくて、体も意識もバラバラに吹き飛んでいきそうな衝撃……。