もしかして……相田さんは智基くんの家に上がったの? またご飯をごちそうになるの? お母様に『お嫁さんに来ない?』って言われてるの?

 そんなことを考えると苦しくて狂おしくてたまらなくなって駆け出した。走って走って……駅が見えたところで左に曲がる。そのまま全力で駆けて、あの神社に着いた。見上げると、曇り空の下、暗い木々が風に揺れている。私は鳥居をくぐって参道を通り、境内に行った。

 はぁはぁと息を切らし、本殿の前に立った。バッグから出した財布の中には、五千円札が一枚と千円札が数枚入っている。それを全部掴んで賽銭箱に差し入れ、続いて小銭入れを開けてひっくり返し、中身を賽銭箱に空けた。

 神様、恋愛成就の神様。どうかお願いします。相田さんと智基くんを恋人同士にしないでください。相田さんは腹黒くて性格も最悪です。あんな人、智基くんにふさわしくありません。私、相田さんよりもずっとずっと智基くんのことを大切にします。何よりも智基くんの気持ちを尊重します。私、智基くんの一番になりたいんです。智基くんに愛されたい。誰よりも、何よりも……。