その日、私は自分の講義を全部さぼって、相田さんのあとをつけた。二限目は大きな講義室に百人くらい入って行われる講義だったので、うしろの隅の目立たない席に着いた。
相田さんはと言えば、講義の間、ずっとスマートフォンをいじっていた。誰とやりとりしているのかはわからないけど、ときおり笑みを押し殺している。
相田さんを見ていると、イライラする。腹が立つ。憎らしい。
三時限目は小さな講義室での講義だったので、入るのはやめた。講義室のドアが見える場所に立って待つ。ときおり学生や講師が廊下を通り過ぎるたびに、人待ち顔で腕時計を見てやりすごした。
九十分後、講義室の扉が開いて女性准教授が、続いて学生が出てきた。その中に相田さんの姿を見つけてあとを追う。相田さんがトイレに入ったので、トイレが見えるところで待った。数分後出てきた彼女は、メイクを直していたようで唇の色が濃くなっていた。ぽってりとして肉感的で……いやに赤い。
相田さんは校舎の出口に向かい、誰かを見つけて大きく手を振った。
「智基くん! ごめ~ん、お待たせ」
相田さんはと言えば、講義の間、ずっとスマートフォンをいじっていた。誰とやりとりしているのかはわからないけど、ときおり笑みを押し殺している。
相田さんを見ていると、イライラする。腹が立つ。憎らしい。
三時限目は小さな講義室での講義だったので、入るのはやめた。講義室のドアが見える場所に立って待つ。ときおり学生や講師が廊下を通り過ぎるたびに、人待ち顔で腕時計を見てやりすごした。
九十分後、講義室の扉が開いて女性准教授が、続いて学生が出てきた。その中に相田さんの姿を見つけてあとを追う。相田さんがトイレに入ったので、トイレが見えるところで待った。数分後出てきた彼女は、メイクを直していたようで唇の色が濃くなっていた。ぽってりとして肉感的で……いやに赤い。
相田さんは校舎の出口に向かい、誰かを見つけて大きく手を振った。
「智基くん! ごめ~ん、お待たせ」