私の返事を聞いて、智基くんが小さく苦笑する。

「同い年なんだから、もっと気楽にしゃべってほしいな。タメ口でいいよ」
「はい、あ、うん」
「さ、遅れないようにもう行こうか」

 智基くんに促されて歩き出しながら、私は左隣をチラッと見た。女子学生に人気のある彼とこんなふうに並んで歩いているなんて……。

 さらさらの髪は日差しを受けて茶色っぽく輝いている。少し大きめの二重が甘い雰囲気で、鼻筋はすっと通っていて、口元は優しそうだ。女子たちの話では、テニスサークルに入っているらしい。だからちょっと日焼けしているのかもしれない……。

 智基くんを見ながらそんなことを考えていたら、彼と目が合った。

「よそ見してたら危ないよ」
「あ、う、うんっ」

 私は慌てて前を向いた。彼と並んで歩を進めるごとに、どんどん鼓動が高まって頬がほてってくる。

 そしてドキドキと頭に響く鼓動が、私の中に生まれた想いを知らしめるのだ……。