「実織ちゃん、散歩に付き合ってくれてありがとう」

 私の方から押しかけたようなものなのに、智基くんも楽しんでくれたようで、そのことを素直に喜ぶ。

「こちらこそ、一緒に遊べて嬉しかった」

 そうして私たちふたりと一匹は元来た道を引き返し、智基くんの家に戻った。縁側で冷たい麦茶をいただき、私は智基くんとマロンにお礼を言って彼の家を出た。まだまだ一緒にいたかったけど、たった一日でこんなにも彼に近づけたのだ。贅沢を言ってはいけない。

 駅前に来ると角を曲がって、恋愛成就の神社を目指した。

 神社に着いたときには、陽が傾いたために枝葉を通して差し込む光が減っていて、さっき見たときよりも薄暗く感じた。どこか怖いような恐れ多いような気さえする。鳥居をくぐった瞬間、背筋がピンと伸びた。初詣やお祭りなど、人の多いときはそれほど意識しないけど、誰もいないときの神社はやっぱり神聖なところなのだと実感する。

 作法に則り、手を清め口をすすいで本殿に向かった。ニ礼二拍手してお賽銭をはずむ。

 智基くんともっと仲良くなれますように。できたら……智基くんの彼女になりたいです。