「大丈夫ですか? 怪我はない?」
左上から気遣わしげな声が振ってきて、そちらを見た。私を支えてくれているのが、優しく爽やかな顔立ちの男子学生であることに気づき、「あっ」と声を上げた。だってその人は、入学以来、女子学生から『彼氏にしたい男子ナンバースリーに入る』と騒がれている横山(よこやま)智基(ともき)くんだったからだ!
私、智基くんに助けられたんだ。あの智基くんに……。
マンホールに落ちかけたせいで速まっていた鼓動が、助かって安心したはずなのにどんどん大きくなる。急に緊張感に襲われて、うまく舌が回らない。
「あ、あああ、あのあの大丈夫です」
「そう? それならよかった」
智基くんは安堵の笑みを浮かべて私の腕から手を離した。そうして少し首を傾げて私をじぃっと見る。
顔に何かついているんだろうか。まさか朝ご飯のときにトーストに塗ったイチゴジャム!?
思わず口元を触ったとき、彼が言った。
「確か同じ経済学部一年生の……川口(かわぐち)実織(みおり)さんだったかな?」
彼が私の存在を――それどころか名前を――知っていたことに驚いて、「ええええっ」と大声を出した。
左上から気遣わしげな声が振ってきて、そちらを見た。私を支えてくれているのが、優しく爽やかな顔立ちの男子学生であることに気づき、「あっ」と声を上げた。だってその人は、入学以来、女子学生から『彼氏にしたい男子ナンバースリーに入る』と騒がれている横山(よこやま)智基(ともき)くんだったからだ!
私、智基くんに助けられたんだ。あの智基くんに……。
マンホールに落ちかけたせいで速まっていた鼓動が、助かって安心したはずなのにどんどん大きくなる。急に緊張感に襲われて、うまく舌が回らない。
「あ、あああ、あのあの大丈夫です」
「そう? それならよかった」
智基くんは安堵の笑みを浮かべて私の腕から手を離した。そうして少し首を傾げて私をじぃっと見る。
顔に何かついているんだろうか。まさか朝ご飯のときにトーストに塗ったイチゴジャム!?
思わず口元を触ったとき、彼が言った。
「確か同じ経済学部一年生の……川口(かわぐち)実織(みおり)さんだったかな?」
彼が私の存在を――それどころか名前を――知っていたことに驚いて、「ええええっ」と大声を出した。