次の日から厳しいレッスンが始まった。
「もっと感情を込めて!」
「もっとしなやかに!!」
あたしのレッスンの相手をしているのは、演出家で有名な橋本 浩史さん。
「他の子達を見て!何が足りないと思う?」
「役の気持ちを考えて!」
何度やっても怒られる。
何度やっても完璧な表現ができない。
少し、休憩しよ・・・・・・。
あたしは、水飲み場に行くために廊下を歩いていると、他の演出家の人達の声が聞こえた。
「いやぁ。あの子、もうちょっと見込みあると思ったんだけどなー。」
「表現が今ひとつなんですよねー。荒凪さん。」
「あの子は、良かったですよね。エマ役の高野 莉亜さん。」
「あー。あの子良いねー。動きが、活発で繊細で。」
「あの子、今からでも主役に出来ませんかねー?」
(は?莉亜が主役・・・・・・?)
違う。主役は、あたし。
莉亜じゃない!!
あんな奴に、絶対に渡さない!!