ら救うためにルエズス教を広めていきました。ですが、八人の聖人の中で一人、神の教えに反する者がいた。それが『聖エガ』、神に背きし聖人であり、私たち八課にはその聖人の名が冠せられています」
 教皇庁特務八課、青の信徒、またの名を『ネクサーグ機関』。聖人であるエガはサーグという村の生まれであり、彼はネクサーグのエガと呼ばれている。ネクサーグは今の言葉でサーグ村という意味である。
「今では彼のことを聖人と呼ぶ者はほとんどいない。単なる神の教えに背いた反逆者であり裏切り者だという認識です。しかし、それは間違っています」
 聖エガは確かに神の教えに背いた。だがしかし、それ自体が神の教えの一つだった。
「彼は神の教えの正しさを証明するため自ら神の教えに背いた。自らの身を犠牲にし、あえて反逆者となることでルエズス教のために戦ったのです。けれど、それを知る人は少ない。彼は今ではただの反逆者。悪魔に魅入られ道を踏み外した穢れた聖人です」
 事実はそうではない。だが、多くの人々はそう認識している。
「この世界は綺麗な事だけではない。時には力も必要とする。私たちはその力であり、神の正義を叶えるためにその身とその血をかけ、命を賭して戦う。それが私たちです。まあ、簡単に言えば汚れ仕事専門部署ですけれど」
 そう言うとユストはいつもの笑顔を見せる。
「さて、では今度は別の話を」
 と、自分たちのことをある程度説明し終えたユストは次の話題に移ろうとした。
 そこへ、一人の男が現れた。
「悪いね。話はそんくらいにしてくれるか」
 現れたのは無精髭を生やした長髪の男だった。彼は紙巻きたばこを吸いながら天幕の中に入ってきた。
「そろそろ仕事の時間だ。準備してくれ」
 男はユストと同じ青い法衣をまとっていた。そう、彼もユストと同じ青の信