【2-1 特務八課】

 聖都教皇庁特務八課。通称『青の信徒』と呼ばれる集団がある。それはルエズス教会の総本山である聖都レフレンテに本部を置く組織であり、ルエズス教会の要する暗躍謀略機関である。彼らはルエズス教の正義を妨害し、教義を否定する者たちをあらゆる手段を用いて排除することを目的として設立された組織であり、表向きには存在していない影の存在でもある。
 教皇庁は大きく分けて七つの部署が存在している。それはルエズス教の聖人の数にちなんだものであり、それらはそれぞれ財政や教育など違う事柄を管轄し管理している。
「ルエズス教会の聖人は七人とされていますが、本来は八人存在しています。その八人目の役割を担うのが我々青の信徒です」
 ユストはレリナにそう説明する。外の世界を知らないレリナは興味深げにその話を聞いている。
「青の信徒ではなく単純に八課と呼ばれることの方が実は多いのですけれど。まあ、それは関係ありませんね」
 二人がいる場所はテントの中である。テントと言うか天幕の中だ。ゆうに三十人は入れそうな天幕の中にユストとレリナは机を囲み、この世界のことやユスト自身のことをレリナに話して聞かせている。
「ルエズス教の聖地であるレフレンテ。これは古代エレンネシア語で『神の丘』という意味があります。その名の通り、かつてルエズス教の教義を八人の聖人たちに伝えた神が降り立ったとされる丘を中心に聖都は広がっています」
 かつてルエズス教の信奉する『神』がレフレンテに降り立った。その時、そこには神の啓示を受けた八人の聖人がいた。彼らは現世に降り立った神からルエズス教の基礎となる教えを与えられ、それをもとに八人の聖人たちはこの世を救うためルエズス教を生み出し人々に広めた。
「ルエズスとは先ほどと同じ古代語で『聖なる教え』という意味があります。その八人の聖人は神から伝えられた聖なる教えを人々に広め、人間を苦しみか