けだ。大人しく話すのならば優しく、抵抗するのならば多少手荒に、そして真実を話していると確信するまで徹底的にだ。
 それがユストの仕事だ。ユストの本来の仕事は『話を聞く』ことである。
 あらゆる方法を使ってお話をする。それがユストの仕事であり、彼の趣味でもあった。
 ユストは人と話をするのが好きだった。
「あれを見てどう思いますか?」
 ユストはレリナに問いかけた。燃え盛る王都を目にして何を思うかとレリナにたずねた。
「わかりません。いろいろと、今は、いろいろとありすぎて」
 と、レリナは答えた。その表情と声から本当に彼女が戸惑っていることをユストは感じた。
「ただ」
「ただ? なんでしょう?」
 レリナは眼下の王都から視線を上げ、空を見上げる。
「空って、こんなに広かったんだなぁ、って……」
 空を見上げてレリナはそう言った。
「す、すいません。関係ないことを」
「いいえ。大丈夫ですよ」
 ユストは首を横に振る。
「どうやら、必要なさそうですね」
「え?」
 ユストはそうつぶやくと自分の足元へ視線を落とす。
 自分の足元、影へと目を向けて、そして視線を上げレリナと同じように空を見上げた。
「この世界は広く、そしてあなたのような亜人には過酷な世界です。ですが、辛いことばかりではないでしょう。確実には言えませんが」
 そう言うとユストはレリナにニコリと微笑みかける。
「ただ、あなたが自らの足で立ち、戦い、抗い続ける限り、神はあなたを見守