「だ、誰だ!?」
彼は森の木々の間に人影を見た。
それは亜人だった。
「く、来るな! 来るな!!」
一人の亜人の姿を見つけた。そして、二人目も見つけた。
三人目もいた。四人目もいた。五人目も、六人目も七人目も。
「く、くそっ! こんなところで」
彼は立ち上がろうとした。だが、立ち上がろうとする途中で足をもつれさせその場に倒れ込んだ。
それでも逃げようと彼はもがいた。芋虫のように這いずり、カエルのように足を動かし、手で湿った木の根を掴む。
掴む。何かを掴んだ。
木の根ではない、柔らかい。
「ひぃっ!?」
掴んだものは人の脚だった。動かない人の脚。
彼は気が付いた。自分以外にも『人間』がいる。ただし、皆動いていない。何人もの動かなくなった人間が森の中に転がっている。
振り返る。ロマド三世は体を起こし、振り返り、自分を追ってくる者たちを見る。
亜人たち。その手には武器を持ち、ゆっくりと迫ってきている。そして、その誰もが一言も言葉を発さず、顔には何の表情もない。
「やめろ、やめろ!! お前たち、私を誰だと思っている!!」
ロマド三世は手に持っていた剣を近づいてきた亜人に投げる。その剣が亜人の一人にあたるがよろけることも表情を変えることもなかった。
迫ってくる。死が迫る。
それでも逃げようともがく。だが、逃げられない。
振り上げられた太い木の棒がロマド三世の体を打った。彼の周囲に亜人が群がり、次々と武器が振り下ろされていく。
彼は森の木々の間に人影を見た。
それは亜人だった。
「く、来るな! 来るな!!」
一人の亜人の姿を見つけた。そして、二人目も見つけた。
三人目もいた。四人目もいた。五人目も、六人目も七人目も。
「く、くそっ! こんなところで」
彼は立ち上がろうとした。だが、立ち上がろうとする途中で足をもつれさせその場に倒れ込んだ。
それでも逃げようと彼はもがいた。芋虫のように這いずり、カエルのように足を動かし、手で湿った木の根を掴む。
掴む。何かを掴んだ。
木の根ではない、柔らかい。
「ひぃっ!?」
掴んだものは人の脚だった。動かない人の脚。
彼は気が付いた。自分以外にも『人間』がいる。ただし、皆動いていない。何人もの動かなくなった人間が森の中に転がっている。
振り返る。ロマド三世は体を起こし、振り返り、自分を追ってくる者たちを見る。
亜人たち。その手には武器を持ち、ゆっくりと迫ってきている。そして、その誰もが一言も言葉を発さず、顔には何の表情もない。
「やめろ、やめろ!! お前たち、私を誰だと思っている!!」
ロマド三世は手に持っていた剣を近づいてきた亜人に投げる。その剣が亜人の一人にあたるがよろけることも表情を変えることもなかった。
迫ってくる。死が迫る。
それでも逃げようともがく。だが、逃げられない。
振り上げられた太い木の棒がロマド三世の体を打った。彼の周囲に亜人が群がり、次々と武器が振り下ろされていく。