【1-6 試練】
おそらく彼は今までの国王とそう変わらない男だったはずだ。
ポルス王国現国王ロマド三世。彼は今、自室で逃げるための準備をしていた。
彼が何か悪いことをした、というわけではない。彼は普通の国王だった。少なくとも『ポルス王国』という国においてはごく普通の、平均的な王だった。
だから彼は思うのだ。
「どうして、どうして私がこんな目に合わないとならんのだ!!」
ロマド三世は拳を振り上げる。だが、それを振り下ろす相手がいない。いつもならば苛立ちを晴らすためによく奴隷を殴っていたが、その奴隷が今は近くにいない。
亜人たちの暴走。それは城にいる亜人たちにも起こった。ただ、暴走した亜人たちは外とは違いすぐに押さえ込まれ、殺された。
「陛下! お早く! 外に亜人たちが」
「ええい、うるさい!! わかっておる!!」
ロマド三世は持っていけるだけの物を持っていこうと慌てた様子で部屋の中を荒らしている。
「なぜだ! 私が一体何をしたと言うのだ!!」
ロマド三世は近くにあった燭台を床にたたきつける。
なぜ、こんなことになった。自分が一体何をした。何が悪かった。どうしてだ。という言葉がロマド三世の頭の中で何度も繰り返される。
なぜ。どうして。
理由はある。しかし、それで彼が納得するかはわからない。
「な、なんだ貴様?! ここは陛下の!!」
部屋の外で声がした。それは先ほどとは違い、ロマド三世を急かすものではなかった。
「お、おい、なにを。や、やめろ! や」
おそらく彼は今までの国王とそう変わらない男だったはずだ。
ポルス王国現国王ロマド三世。彼は今、自室で逃げるための準備をしていた。
彼が何か悪いことをした、というわけではない。彼は普通の国王だった。少なくとも『ポルス王国』という国においてはごく普通の、平均的な王だった。
だから彼は思うのだ。
「どうして、どうして私がこんな目に合わないとならんのだ!!」
ロマド三世は拳を振り上げる。だが、それを振り下ろす相手がいない。いつもならば苛立ちを晴らすためによく奴隷を殴っていたが、その奴隷が今は近くにいない。
亜人たちの暴走。それは城にいる亜人たちにも起こった。ただ、暴走した亜人たちは外とは違いすぐに押さえ込まれ、殺された。
「陛下! お早く! 外に亜人たちが」
「ええい、うるさい!! わかっておる!!」
ロマド三世は持っていけるだけの物を持っていこうと慌てた様子で部屋の中を荒らしている。
「なぜだ! 私が一体何をしたと言うのだ!!」
ロマド三世は近くにあった燭台を床にたたきつける。
なぜ、こんなことになった。自分が一体何をした。何が悪かった。どうしてだ。という言葉がロマド三世の頭の中で何度も繰り返される。
なぜ。どうして。
理由はある。しかし、それで彼が納得するかはわからない。
「な、なんだ貴様?! ここは陛下の!!」
部屋の外で声がした。それは先ほどとは違い、ロマド三世を急かすものではなかった。
「お、おい、なにを。や、やめろ! や」