では、ポルス王国はどうしてそんな強大なルエズス教とその本拠地である聖都や教皇に逆らうことができるのか。
それは簡単である。
持っているのだ。ポルス王国も神器のひとつを。
「……お客様ですか」
椅子に座ったまま目を閉じ眠りにつこうとしていたユストは、ゆっくりと目を開け立ち上がる。
隙間だらけの廃屋の窓は壊れて常に開け放たれている。ユストはその窓から外に目を向け、その向こうの闇の中にいる者たちを確かめる。
見えない。しかし、気配はある。
立ち上がったユストはまず部屋の隅で寝ているレリナのところへ行った。そして、彼女に身を守るための防御魔法を施し、それから家の外へ出た。
「さあ! 出てきてください! ゆっくりお話ししましょう!!」
家を出たユストは声を張り上げた。
「ああ! いえ! ゆっくりはしていられませんね!」
身を晒し、声を上げ、自分の位置を相手に知らせる。相手がどこにいるのかわからない中で、そんなことをすれば自殺行為だ。
だが、これでいい。相手が動きを見せたならばそれで十分である。
周りには隠れられる場所がいくらでもある。瓦礫やゴミ、同じような空き家などなど、相手がどこに潜んでいるかわからない。
だが、相手が動けば違ってくる。
ユストは魔法で暗闇の奥にあるモノを見ていた。
それは温度である。
普通、人間の目には温度は見えない。しかし、魔法により視覚を変化させることでそれを可能にしている。物陰に隠れていたとしても、暗闇の中であっても、相手が動けば温度の変化で位置がわかるのだ。
こちらが動けばあちらも反応を示す。こちらの動きが予想外の物であれば相手も動かざるを得ないだろう。
それは簡単である。
持っているのだ。ポルス王国も神器のひとつを。
「……お客様ですか」
椅子に座ったまま目を閉じ眠りにつこうとしていたユストは、ゆっくりと目を開け立ち上がる。
隙間だらけの廃屋の窓は壊れて常に開け放たれている。ユストはその窓から外に目を向け、その向こうの闇の中にいる者たちを確かめる。
見えない。しかし、気配はある。
立ち上がったユストはまず部屋の隅で寝ているレリナのところへ行った。そして、彼女に身を守るための防御魔法を施し、それから家の外へ出た。
「さあ! 出てきてください! ゆっくりお話ししましょう!!」
家を出たユストは声を張り上げた。
「ああ! いえ! ゆっくりはしていられませんね!」
身を晒し、声を上げ、自分の位置を相手に知らせる。相手がどこにいるのかわからない中で、そんなことをすれば自殺行為だ。
だが、これでいい。相手が動きを見せたならばそれで十分である。
周りには隠れられる場所がいくらでもある。瓦礫やゴミ、同じような空き家などなど、相手がどこに潜んでいるかわからない。
だが、相手が動けば違ってくる。
ユストは魔法で暗闇の奥にあるモノを見ていた。
それは温度である。
普通、人間の目には温度は見えない。しかし、魔法により視覚を変化させることでそれを可能にしている。物陰に隠れていたとしても、暗闇の中であっても、相手が動けば温度の変化で位置がわかるのだ。
こちらが動けばあちらも反応を示す。こちらの動きが予想外の物であれば相手も動かざるを得ないだろう。