ユストはそう言うと名を告げる。
「レリナ。この者に神の祝福を」
 ユストは彼女にそう告げた。すると、彼女はなぜか驚いた表情で口に手を当て目を見開いていた。
「どうかしましたか?」
「いえ、あの……。大丈夫、です」
 そう言うと彼女は何度も首を横に振ってから、ユストに告げられた名前を自らの口でつぶやく。
 レリナ。それが彼女の名前である。
「神はあなたをいつでも見守ってくださる。そして、あなたの行いが神の正義にかなう時には、必ず力を与えてくださいます」
 そう言うとユストは膝をついたままレリナに手を差し伸べ、レリナはユストの手に手を重ねる。それからユストは重ねられたレリナの手を握るとその手の甲に口づけをし、それから手を離して今度はレリナの足の甲に口づけをした。
「あ、あの」
「ああ、驚かせて申し訳ありません。これはルエズス教の洗礼の儀式です。まあ、簡単なものですが」
 ユストは驚いているレリナにそう説明すると立ち上がり、もう一度レリナの手を両手で握りしめた。
「これであなたも私と同じ、ルエズス教徒の一人です」
「でも」
「大丈夫。ルエズス教についてや神についてはこれから学んでいけばよいのです」
 ユストは困惑するレリナを安心させるように優しく微笑む。
「では、これはもう必要ありませんね」
 そう言うとユストはレリナの首に手を添える。そして、彼女の首にはめられている首輪に触れる。
 その首輪には奴隷を縛り付けるために強い魔法が込められている。それを無理