【1-3 歴史】
この世界での亜人の歴史はまだ浅い。
西ユセリア大陸に亜人が登場したのはおよそ二百年前、一人の魔法使いが異世界からのエルフを召喚したことから始まる。
当時、奴隷はまだ人間だった。人間が人間を買い、虐げ、使役していた。そして、どんな人間も奴隷になる恐れがあった。使役する側がされる側に落ちる。その恐怖に人々は怯えていた。
しかし二百年前、亜人が現れた。人間たちは彼らを奴隷にすることで恐怖から逃れ、そこから亜人たちの受難が始まった。
困難と苦痛と屈辱の歴史。この世界での亜人は悲惨であった。
ルエズス教会はそんな亜人たちを苦難から救い出そうとしている。
ただし、それは表向きの話だ。裏がある。
その裏の話は隠したまま、ユストは助けたルナエルフの女性に自分がどうしてこの国にいるのかを話して聞かせた。そんな彼女はどうもあまり外の世界のことを知らないようで、彼女は積極的ではないが、わからないところがあると「すみません」「ごめんなさい」といいながらユストの話を遮り、ユストに質問をしていた。ユストはそんな彼女の質問にいやな顔をせず優しく答えた。
「ごめんなさい。この世界に来てからこの国から出たことはないし、外の話もあまり聞いたことがなくて」
「構いませんよ。時間はたっぷりありますから」
二人は今、廃墟にいる。宿を追い出され他の宿を探していた二人だったが、結局はどこの宿も泊めてはくれず、辿り着いたのは郊外の人の住まなくなったぼろ屋だった。
この国、ポルス王国にもルエズス教の施設はある。その関係者に助けを求めると言う方法あるのだが、はっきり言ってこの国のルエズス教徒は一応はルエズス教を名乗ってはいるが、中身は別物だ。そんな奴らに助けを求めるのはよろしくないし、そもそも助けてくれるかもわからない。最初からあてにしないのが無難
この世界での亜人の歴史はまだ浅い。
西ユセリア大陸に亜人が登場したのはおよそ二百年前、一人の魔法使いが異世界からのエルフを召喚したことから始まる。
当時、奴隷はまだ人間だった。人間が人間を買い、虐げ、使役していた。そして、どんな人間も奴隷になる恐れがあった。使役する側がされる側に落ちる。その恐怖に人々は怯えていた。
しかし二百年前、亜人が現れた。人間たちは彼らを奴隷にすることで恐怖から逃れ、そこから亜人たちの受難が始まった。
困難と苦痛と屈辱の歴史。この世界での亜人は悲惨であった。
ルエズス教会はそんな亜人たちを苦難から救い出そうとしている。
ただし、それは表向きの話だ。裏がある。
その裏の話は隠したまま、ユストは助けたルナエルフの女性に自分がどうしてこの国にいるのかを話して聞かせた。そんな彼女はどうもあまり外の世界のことを知らないようで、彼女は積極的ではないが、わからないところがあると「すみません」「ごめんなさい」といいながらユストの話を遮り、ユストに質問をしていた。ユストはそんな彼女の質問にいやな顔をせず優しく答えた。
「ごめんなさい。この世界に来てからこの国から出たことはないし、外の話もあまり聞いたことがなくて」
「構いませんよ。時間はたっぷりありますから」
二人は今、廃墟にいる。宿を追い出され他の宿を探していた二人だったが、結局はどこの宿も泊めてはくれず、辿り着いたのは郊外の人の住まなくなったぼろ屋だった。
この国、ポルス王国にもルエズス教の施設はある。その関係者に助けを求めると言う方法あるのだが、はっきり言ってこの国のルエズス教徒は一応はルエズス教を名乗ってはいるが、中身は別物だ。そんな奴らに助けを求めるのはよろしくないし、そもそも助けてくれるかもわからない。最初からあてにしないのが無難