そして、霧河は店を出た。その後、街を歩きながら、

考え事をしていた。





(にしても、あの店の前の名前、何だったんだろう?気になるな。それと、まさか、コーンスープの時のあの言葉も、元々は、

あの人が別の人から言われた言葉だったとは。

あと、〝あの人が実は頑固で、しかも昔はぶっきらぼうだった〟

って事にも驚いた。今でも、喋り方こそ男らしいものの・・・

やっぱ、人って、変わるんだな。いや、というより、

人が人に変えられるんだ。

俺が、俺を育ててくれた親戚、それから、

実は意外と仲が良い事に自分でも気づかなかった同じ会社の社員、

プレゼントをあげて喜んでくれた子供達、それから、窓河さんも。皆、俺を変えてくれたんだ。大切な存在なんだ)





そうして歩いていると、偶然、会社の同僚達に会った。





そう、以前、霧河に居酒屋に誘った事がある男性社員達だった。

彼らは、全員で5人だった。





「ア、アレ?」

「ん、ん~?」

「霧河じゃねぇか~!!」

「お~!!君達こそ、どうしたの!?」

「いや、俺達、忘年会しようと思ってたんで、今日は、

皆で有休取ったんだ」





霧河は、あ然とし、固まった。

(良く5人も一斉に有休取れたな・・・・・・)と。





「なぁ霧河、今からゲーセンで遊ばねぇ?」

「ゲーセン?また?大人なのに。パチンコじゃなくて?」

「いや、童心に返りてぇ事だってあるだろ?」

「う、う~ん・・・まぁ、良いけど」

「よっしゃ~!!決まり~!!皆~!!霧河が一緒にゲーセンに行ってくれるってよ!!!」

すると一同が

「イェ~イ!!最高~!!!」と言った。





「そんなに喜ぶ事かな?(笑)僕一人が一緒に行く事になった

ぐらいで」

「何言ってんだよ!?お前だから嬉しいんじゃねぇか!!」

「そう?」

「ああ!!お前は俺達と一緒に遊んでくれる事、少ねぇだろ?特に、ゲーセンやパチンコみてぇなとこは1回も一緒に行った事ねぇし!!!」

「そうだけど・・・あの・・・」

「というワケで、行っきましょ~う!!!」

「しゃ~~~!!!」





「おい!皆、話、聞けよ!!ったく・・・強引だな~・・・」





だが、この時、霧河は、少し嬉しそうに笑い、

「まぁ、いっか!!!」と言った。