次の日は

仕事が休みだった。その日、昼から

「窓際族」に向かった。





〝カランコロン〟





「はい。いらっしゃい」





店長が声をかけてくる





「お~!この頃、良く来てくれるね!!

ウチが気に入ってくれたようで、俺は、凄く嬉しいよ~!!」

「あ~、いや、店長さんが凄く面白いお方で、

いつも話していて凄く楽しいんですよ!!」

「そうか~!そりゃ良かった~!!」

「はい!!」





「面白い・・・か。そんな事言ってくれる人は、

今までほんの2、3人しかいなかったな・・・」

「そうなんですか?」

「ああ」

「・・・・・・」





霧河は、昨夜考えて、やっと分かった事について店長に話した。





「あの~、以前、店長さんが教えてくださった〝僕にとっての

コーンスープが酒と同じくらい高価だ〟という事の意味が、最近、やっと良くわかりました」

「あ~、アレか~。あれからずっと考えてたんだな~」

「はい。まぁ。あの、この前、ある女の子が、ボロボロになって

使えなくなったマフラーを〝大切な人からもらった大切なモノ

だから〟って言って、ずっと大事に持ち続けていたんです」

「ほうほう」

「それから僕も、最近、亡くなってしまった両親がくれた色んな

モノが、全て、自分にとっては凄く大切なモノだったと、今、

改めて実感したんです」

「なるほどね~。ところで君、聞いてすまないけど、両親が

亡くなってるのかい?」

「はい。僕が小学6年生だった頃に」

「そうか~。そりゃ可哀想に。あともうちょっとってとこで、小学校を卒業するところも、両親に見てもらえなかったんだな・・・」

「はい」





「哀しいな~。両親も、さぞ見たかっただろうよ」

「ありがとうございます。いたわってくれて」

「いやいや、そんなに大した事じゃねぇって。口で何か言うぐらい、誰にだって出来るだろ」

「でも、嬉しいんですよ!!」

「そうか。お客さん、とても素直だねぇ~」

「ありがとうございます!!」