私は麻奈美さんを思い出して首を捻る。
隣や向かいに立っているクラスメイト達は麻由美さんが誰なのか分からずに首を捻っている。
「麻由美さんて誰?」
しばらくして、どこからとも無く聞こえてきた純粋な疑問。
私はそれに素直に答えた。
「麻奈美さんはお父さんの会社の人で、お父さんの好きな人だよ。麻奈美さんもお父さんが好きだからお出かけはお父さん麻由美さんと三人で行くかお母さんと二人で行くかかなぁ」
「えー?普通、お父さんの好きな人ってお母さんじゃないの?」
「うちの普通は違うよー?お父さんは麻奈美さんが好きだもん」
「えー?沙綾ちゃんち変なのー」
クラスメイト達は麻由美さんの存在を理解できずただ『変』だと口々に言っていた。
それでもいいと思った。