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 あれは昨年のことだった。

 友達もいて、勉強することにも慣れて、小学生としての生活にも慣れた頃。

小学生として迎えた初めての冬の終わりかけ、春になる境目での出来事だった。


 私は周りの友達の話を聞いて思ったことを母親に聞いてみたことがあった。

「お母さん、どうしてうちは冬休みにどこにも行かなかったの?」

「いいじゃない。夏休みは新潟にいったでしょ?」

 それまで笑いかけてくれていた母の表情が、その時は少し歪んでいたのを私は今でも覚えている。

「でも、なっちゃんもふみ君も他の子だってみんなどっちもお出かけしてたよ?」

「そう」

「私もお出かけしたかったなぁ。ねえ、お母さん?夏休みはまたどこかお出かけに行こうよ!」

「……」