例えば、痛みはそれ以上その場所を傷めないよう発せられた信号だ。

 眠っているときでさえ脳が働いているのは生命を維持する為だ。

 基本的に脳は人間の生命活動を維持することを念頭に働いているんだと思う。

 ならば、何故?

 怪我をすればそれ以上その場所を傷めないように信号は発せられるのに。

 そうしたらそこを庇ったり治療したり、治癒に向けて行動するのに。

 ならば心や精神は?

 何故、心が痛みを感じても、精神が悲鳴を上げても、脳はその原因であろう記憶をなくそうとしない?

 確かに心や精神の痛みは死に直結はしないだろう。

 だけど……と思ってしまう。

 だけど、心や精神の痛みは積み重なるにつれその持ち主である人間を死へと追いやっていく。