「どうして?」

 今日は幼稚園だったから着ているものはみんなと同じ紺のスカートに白いシャツ。

 カバンだってみんなお揃いの茶色いリュックだ。

「足元。それから上着かな。あ、よく見たら髪の毛を結んでいるゴムも紫じゃないか」

「あっ」

 言われて、私は自分の視線を足元へと下ろす。

 確かに、と思った。

 指定の持ち物以外、私が身につけているものは紫のものばかりだ。

「今度アキ兄にもランドセル見せてあげるね!」

「それは楽しみだねぇ。そっかぁ。小学生かぁ。なにかお祝いをしなくちゃねぇ」

「わーい!」

 まだ純粋で子供だった私はアキ兄の言葉に素直に喜んだ。