「お母さん、あのね?アキ兄が遊びに来ないかって言ってくれたの。少しだけ行ってきてもいい?」

「んー……。アキ君?そうね。後で何かおかずでも持って行ってあげればいいかしら。沙綾も暇だものね。お母さんはもうしばらく起きれそうにないし……」

「お母さん大丈夫?お水飲む?」

「大丈夫よ。ありがとう。もうしばらくしたら起きれるわ。沙綾、あまり迷惑をかけないようにね」

「うん!任せて!」
 
 母親の許可を得た私は喋っている間も全く目を開けようとしない母親を気にかけつつもアキ兄の家へと向かった。

「いらっしゃい」

「おじゃましまーす」

 初めて訪れたアキ兄の家は私の家よりも小さく(いま思えば一人暮らしの学生だから当たり前のことだが)物が散乱としていた。