「お母さん。お母さん」
「んん……。どうかしたの?」
「お天気がねとてもいいの。あのね。それでね。私ね。少しでいいからお外に行きたいの。少しだけでいいから遊んできてもいい?」
補足を加えると、その頃の私は近くのコンビニに一人でお使いに行くくらいはしていた。
とはいっても回数は二度程。
距離も目と鼻の先くらいの近さだが。
「そうねぇ……。お庭なら……いいわよ」
その時の母親は半分眠ったまま答えていたのだと思う。
私に話しかける時もその両目は重たく閉じられたままだった。
何はともあれ、私は外へと行く許可を得ることができた。
もちろん母親との約束はちゃんと守るつもりだ。
私は庭で一人遊べるように砂場セットを出して窓を開けた。