その数週間後、彼は爽快感を感じながら仕事場へと向かった。
(どうやら、山部さんは活動を自粛したらしい)
天気は快晴で、秋の気持ちの良い空気を満身に浴びて、稲刈りに取り掛かった。
(ここがヤマだ、あともう一踏ん張り)
彼はいつもより帰りが遅くなった。陽は短くなっており、どんよりとした重量感のある空気が漂っていた。
(季節は過ぎるのが早いものだなあ)
家路を急いで軽トラをいつもより飛ばす。
自宅に着くと、盆栽弄りを始めた。
(こんな日は趣味に浸ることに限るものだ)
彼がマツの木に囚われてると、庭の奥の方から妖しげな動物の悲鳴が聞こえてきた。好奇心により、彼の足はその真っ暗闇へと引っ張られていた。
(ん?何だあれは!)
そこには、今まで目にも付かなかった小さな小屋がひっそりと佇んでいた。そおっと近づき、扉の隙間から中を覗く。そして、その荒屋の中へ足を踏み込んだ刹那、彼は絶句した。そこに広がっていたのは、町という町の動物が放り込まれていた。そして、その深奥には、なんと妻と山部が行為に及んでいたのだ!それは、妻が実行犯となりその動物達を山部に渡すことにより関係を保ち続けていたのだ。
(そうだ!夜の鳴き声は動物を剥製にするために一匹づつ殺していたものだったのか!)彼はまだ、気付かれていないらしく、二人は互いに肉慾と情欲とを満たしあって、妻は咆哮していた。その空間は何時までも続くようだった......
次の日、二人は町から姿を消した。