「あんたの父親はねぇ…私にあんたができた途端私を捨てて女と逃げたサイッテーな奴なのよ…」

僕の母、木更津 美織子(キサラヅ ミオコ)は酒を大量に飲みながら、部屋の隅に蹲る僕に酔った口調でそう言った。
5歳の僕はどうすることもできず、ただ、母と目を合わせないようにしてビクビクと震えていた。

以前は優しかった母がリストラを機に豹変し、この頃僕は母から虐待を受けていたのだ。

「ねえ…なんで私が1人であんたなんか育てなきゃいけないの?!あの男にそっくりなあんたを見るたびに吐き気がするんだよ!」

蹲る僕にズカズカと近づいてきた母は、僕の頭を思いっきり掴むと、勢いよく壁に打ち付けた。

ドンッ

あまりの痛みに泣き出す僕。
しかし、母はそんな僕を容赦なく殴り蹴り、遂にはいつまでも泣き止まない僕に灰皿を投げつけた。