「な、何してる!やめるんだ!」

一番最初に我に帰ったのは先程と同じく警部だった。
警部は僕を彼女から引き剥がすと、抵抗する僕の体を床に押し付けた。

「おい、お前達!何ぼーっとしてんだ!早く遺体を運べ!」

警部の命令で、先程まで僕を見て気味悪そうな顔をしていた警察官たちも我に帰り、彼らは彼女の亡骸を運び出した。

「待って!嫌だっ…リリを返せっ!リリを返せぇえええ!!」

泣き噦り暴れる僕を押さえながら、警部が近くにいた警察官にこう言った。

「おい、お前も手伝え!」

「は、はい。」

と、その警察官は暴れる僕の両足を押さえつけた。

涙で滲んだ左目の視界から、彼女の姿が徐々に消えていくのが見えた。


それから暫く経ってから、僕は警部にパトカーに乗せられた。