「木更津君?!ねぇ、どうしたの?!目が痛むの?」

僕の肩をさすりながら京が声を震わせている。

「ど、どうしよう…先生呼びに行かなきゃ!」

そう言って立ち上がった彼女の足首を、僕は咄嗟にガシッと掴んだ。

「ひゃっ!き、木更津君?!」

「…くな…」

「…え?」

「教師は…呼びに行くな……」

僕は視界がぼやけ始めている左目で彼女の顔を見上げながら声を絞り出した。

クラスでもあまり話したことのない、しかも暗くて人と関わることもないような男に足首を掴まれ、睨むような目つきで見られ、彼女は心底怖かっただろう。

しかし、しばらく戸惑うような表情で立ち尽くしていた彼女は、やがて再びしゃがみこむと、僕の顔を覗き込んで言った。

「じゃあ私が側にいる。それならいいでしょ?」

僕は呼吸を乱しながら頷き、彼女の足首から手を離した。

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