しかし次の瞬間、

ズキンッ

突如、右目の奥に激痛が走った。
僕は思わず眼帯と前髪で隠れた右目を上から両手で押さえつけた。

こういうことは稀にあって、いつもなら手で押さえると痛みは和らぐのだが、今回は違った。和らぐどころか、痛みはだんだんと酷くなっていく。

「ゔっ…ああっ……」

悪化する激痛に、僕は呻いた。

「木更津君?…大丈夫…?!」

京が心配そうに僕の顔を覗き込んだ。

酷くなっていく痛みと共に僕の脳裏にはっきりと浮かび上がった映像。それはあの時、母に灰皿の破片で右目をぐちゃぐちゃとえぐられている時の記憶だった。

『あんたがいなけりゃ録に捨てられなかったのに!』

『全部あんたのせいよ!』

『あんたさえいなくなれば私はやり直せるの!』


『あんたなんか…産まなきゃよかったわよ!』


「うあぁあっ…」

あまりの激痛に、僕は唸り声をあげてその場に倒れ込んだ。その激痛は、眼球を抉られた時のように意識が飛びそうになる程凄まじい痛みだった。