「もぅ〜ほんっと逃げ足速いんだよシロナは〜。」

あの後2人で手分けして探したら、無事にウサギを見つけることが出来た。
京は脱走した『シロナ』(白いロップイヤー)を抱きながら頬を膨らませていた。

「でも無事でよかった!木更津君、見つけてくれてありがとね!」

「あ、いいよ。別に。」

京に笑顔で礼を言われ、僕は少し反応に困ってしまった。

思えば、誰かの問題に干渉したのはこれが初めてかもしれない。
15歳の言うことでは無い気がするが、僕は本当に、これまで少しでも他人を気にかけたり、ましてや助けた事など一度もなかったのだ。