その金子さんの必死な顔で、胸がキュンとした。

「そんな焦らなくても。」

「す、すみません。」

金子さんが、私の腕を放した。

その跡が、温かく残る。


「……ずっと、好きでしたって事は、もう過去形って事?」

「あっ……」

私、何て言い方したの?

「あの、いや、えっと……」

「そうか。三浦さんにとって、俺は過去の恋か。」


泣きそうになった。

ううん。

今でも、好きです。

この瞬間も。


「私、金子さんを好きになってよかったです。」

「そう?俺の方こそ、好きになってくれて、ありがとう。」

そう言って、金子さんはお日様のように、笑ってくれた。


「おい、金子!」

同僚の人に呼ばれ、金子さんは『じゃあね。』と行ってしまった。