ドキンッと鳴った。

言うなら、今がチャンスだ。


「い、いません。」

「そうなの?小百合は、三浦さんに好きな人がいるって、言ってたけどな。」

全身の血が、ドックンドックン言っている。

手が震える。

私は、大きく深呼吸をした。


「三浦さん?」

「その私が好きな人って、金子さんです。」

「えっ……」

その瞬間、サァーッと心地よい風が吹いた。

私と金子さんは、見つめ合った。


「こんな時に、ごめんなさい。でも、言わずにはいられなくて。」

「そうだったんだ。」

金子さんは、困った顔をするでもなく、優しく私を見つめてくれた。

「ずっと、好きでした。幸せになって下さい。」

私が頭を下げて、戻ろうとした時だ。

金子さんが、私の腕を掴んだ。

「待って。」