これでいいんだ。

金子さんと小百合が、仲がいいのは、良い事。


金子さんには、幸せになってほしい。

だから、諦める。

好きな気持ちも、無くす。


その瞬間、涙が零れた。

そう思えば思う程、金子さんを好きな気持ちが広がって、諦める事ができない。

どうすればいいのだろう。

あの人を、心の中から追い出すには、どうすれば。


その時、グラスの中の氷が、カランッと鳴った。

お酒の中で、氷が解けて行く。

ああ、金子さんへの想いも、こんな風に、水の中に溶けていけばいいのに。


私は涙を拭くと、シャワーを浴びた。

そう。

金子さんへの想いが、溶けてこのまま、流れ去ってくれればいいのだ。

だけど、気持ちは一向に流れずに、まだ私の中にくすぶっているようだった。