その分、私のため息は、深くとどまって、金子さんとの距離を微妙に遠ざけた。

あんなに仕事熱心だった金子さんが、定時ぴったりに帰るようになったのだ。

しかも、決まって小百合が、迎えに来る。

周りの人は、『仲いいよね。』『熱々のところ、見せつけちゃって。』と言っていたが、私には分かっていた。

小百合は、金子さんを私に、近づけたくないのだ。


彼女は、私が金子さんを好きだと言う事を、知っている。

肝心なのは、それを金子さんに、話しているかどうかだ。


翌日、私は思い切って、切り出してみた。

「金子さん、最近小百合の様子、おかしくないですか?」

「えっ?」

金子さんは、きょとんとして、私を見ている。

「そうかな。最近……そう言えば、やたら一緒に帰りたがるようになったかな。」