「俺は助かったけど。飲みすぎて頭ガンガンだったから」

 龍が、お酒を飲みすぎて頭がガンガンになる。
 まったく想像がつかない。龍の父親は夕食時に日本酒というものを少しずつ嗜む程度で、翌朝に引きずる姿は一度も見たことがなかった。
 息子である龍はお酒に弱いタイプだったのかと、また新しい面を見ることが出来た気がする。飲み方の問題もあるかもしれないけれど。

「そんなに飲んだの? 学校大丈夫?」
「あー。明日、つか今日か。講義ないから」
「ふうん。女の子もいたの?」
「いたけど、途中でほとんど帰ったな。最後はヤローばっかでベッロベロ。地獄絵図」
「へえ?」

 莉依子の質問の意図を深く考えなかったのだろう、そう軽く言った龍は、皿を持ち上げ残りを口の中へとかきこんだ。