身体が疲れてきているのだとわかっていても、やっぱり悔しい。

 一体、何をやっているんだろう。
 せっかく3日間だけなら泊めてくれると、約束をこぎつけたのに。
 今日までしか、時間がないのに。

 莉依子は、自分への苛立ちで唇を噛みしめた。
 こんなに悔しい気持ちになったのは、昔龍がいじめっこにからかわれて、涙を堪えて帰ってきた時以来だ。
 ――ああ、違うな。
 あの時は目の前が真っ赤になってチカチカしたから、悔しいというよりれっきとした『怒り』だ。

「莉依子? 何ぼっとしてんだ。さっさと食えよ」

 ぺし、と頭を軽くはたかれ、莉依子は我に返った。他でもない龍が顔を顰めて莉依子を見つめている。
 目の前に置かれた皿には、焼きそばが大量に盛られていた。

「あ……ありがとう」
「あいよ」

 夏休みになると、よく龍の母親が作っていたのを覚えている。けれど、あの時目にしていた焼きそばとだいぶ違う。
 莉依子は遠慮気味に質問することにした。

「……ねえ、龍ちゃん。これ緑色? っていうかお野菜ばっかりだけど……焼きそばだよね?」

 ぐ、と詰まった龍は仕方ねーだろと息を吐き出す。