莉依子がこんなにも自分に対して絶望したのは、初めてかもしれない。
 目覚めた時の、眩しい世界。
 既に頭上から差し込んでいた白い光を呆然と眺めていた。

 結局、昨日は莉依子が夕方近くまで『大学の保健室』でダウンしてしまっていたからというもの、まっすぐアパートへ戻ってきてしまった。
 鶴来と別れてから、どこかへ出かけようと龍を誘ってみても『倒れたんだからやめとけ』で終了してしまった。
 誘いを断る口実にしているのではなく、ちゃんと心配しているのが伝わってきたからこそ、莉依子は強引に押し切ることは出来なかった。

 夜だって、今度こそと意気込んだのに、莉依子がお風呂から上がったのを見計らったように『ちょっと飲み行ってくる』と出て行ってしまった。
 出かける際に少し抵抗を試みたものの、

『私も行きたい』
『酒の席だからダメ。未成年は連れていけねーの』
『なんで』
『なんでも』

 ……連れて行ってもらえなかったのだった。

 それならばと、帰ってくるまで起きて待っているつもりだった。
 もしかしたら、龍を変に誘惑する人間がいるんじゃないかとか色々考えすぎて、そして、慣れない事が多すぎたのかわからないけれど、莉依子は自覚するよりも疲弊していたらしく———いつの間にか眠りに落ちていた、というわけで。

 しかも、ソファで寝ていたはずなのに目覚めた時はロフトの布団の上。
 お腹周りに、しっかりとバスタオルが掛けられていた。
 わざわざ龍が運んでくれた事は簡単に想像ついている。身体に触れられても起きなかったなんて、これまで生きてきて1度もなかったことだ。