鶴来は真剣な莉依子の視線に気づき、少し困ったように龍を見遣ってから笑う。
 龍が本気で嫌がっているから、話していいものか迷っているのだろう。そういう面でも、やはり軽いだけの青年ではないようだ。

 龍の友達に鶴来のような人がいたことに、莉依子はほっとした。
 莉依子は、視線を龍へと移して両手を顔の前で合わせる。

「ちょこっとだけ。どんな風に過ごしてたのかなーって知りたいだけだから。ね? お友達から聞いてみたいの、龍のここでの生活」
「……マジで母さんに頼まれたんじゃないよな?」
「絶対ちがう。誓う。私が知りたいだけ」
「それも嫌だっつうの……」
「お願い!」
「……余計な事言うなよ、ツル」
「りょーかい」
「ありがと!」

 了承も得たことだしね、と今度こそ屈託のない笑みを浮かべた鶴来は、ベッドに腰掛けている龍の隣へと座った。
 龍より更に莉依子側に座ったことで鶴来との距離は近付き、反対に龍の姿は見えにくくなる。

「えーと。りいこちゃんが知ってる久住ってどんなヤツ?」
「え?」
「ツルそれ関係ねぇだろ」
「大ありだから聞いてんの。ねえ、どんな幼馴染?」

 指を顎に当て、莉依子は考えた。