「仕方ねーとは思うけどさー、そういう生き物なんかなーめんどくせえーー」

 ごろんと寝転がって、メール未読画面と着信履歴を眺めつつ、ため息が出た。
 ひとり暮らしも、時が経つにつれて独り言がむちゃくちゃ多くなるもんだ。
 そんな謎の納得を謎の角度からしながら、画面と天井を交互に見る。
 
 ため息しか、出ない。
 今年も帰れないと、先週電話が来た時に言ったはずだ。なのになんでまた電話攻撃。
 用事があるならメールにしてほしい。ものすごい下手なの知ってるけど。ひらがなが多くて解析するのにだいぶかかるけど。

「……………」

 メールを開こうとしたところで、指を止めた。

 やっぱりめんどくさい。
 留守電を聞いたところで、どうせ次はいつ帰れるのかとか散々言われる予感がしていつも消してしまう。
 そんな避け方をするということは、少なからず自分に罪悪感があるということもわかっているけど。 
 
 見なかったフリをして、俺は梯子に手を掛けた。
 
 今日はもう寝よう。
 明日は講義がひとつしかないから、早起きしないで済む。何より深夜は時給が上がるし、店の近所に住んでいるあの子も時々来店するしで良い事尽くしだから、翌朝寝坊できる日には必ずシフトを入れていた。

 でもやっぱ、眠いもんは眠い。
 身体は正直とはよく言ったもので、身体は既に泥のように重かった。