「昔っから一緒に居たヤツでね」
「そんなに昔から?」
「物心ついた時には居たな」
「そっかぁ。じゃあもう本当に家族なんだね」

 龍ちゃん、と笑いかけてくる人としての莉依子の顔と、リンと鈴を鳴らして俺の傍にいつもいた猫を思い出す。

「うん。家族だった。……大事だったんだ」
「……うん。じゃあいっぱい最後の挨拶しておいでね」
「ついでに、少し泊まって親と話でもするかなーと」
「それ、すごくいいと思う」

 莉依子がいなくなって寂しい。
 すごく寂しいけど、当たり前だと思っている事との別れは必ずやってくることを、莉依子は教えてくれた。

「こっち来てから1回も帰ってねーんだよな俺」
「じゃあ、たくさん話せるといいね」

 そしてきっと、これを機にさえして、俺と家族との時間を贈ってくれた。

「あ、そうだ安達」
「何?」
「俺、安達が好きだよ」

 ――――いつか、安達にも話せるだろうか。
 
 俺が経験した、不思議な3日間を。