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 オレンジ色の光が、あらゆるものを染め上げていく。
 西日が強くなっていく中練習を続けている野球部を横目に、俺は大学敷地内のはずれにあるグラウンドを歩いていた。

 あれからツルは安達に俺を見つけたと連絡し、すぐさま落ち合う流れとなった。
 俺を探している理由はわかっている。安達を怒らせた事についてだ。
 わかっていても緊張するのは仕方ない。

『幸運を祈る』
『何のだよ……』
『殴られないようにとでも言えばいい?』
『……そうだな』
『やだなぁ冗談に決まってんだろ。大丈夫だっつの。多分?』

 スマホを片手に、ムカつく笑顔を浮かべたツルを思い出す。
 俺の様子がおかしかった事に深く突っ込んでこなかったことには感謝するけれど、それで今さらふざけた物言いが変わらないわけではないのは理解した。

「あ」

 ―――いた。

 グラウンドの端。
 一部の連中に『学内の河原』と名付けられているらしいほど多少の坂の途中に、安達は体育座りをしてグラウンドを見つめていた。