手紙と書いてあるけれど、手紙だなんて到底呼べない。
俺のルーズリーフから千切られた紙。それを持つ左手がわずかに震え、右の手のひらで目を覆った。
何が何だか俺には分からない。
だけど、確かにこれはここにある。
莉依子の字なんて、見たことがない。
俺の知る莉依子は猫なんだ、書けるわけがないだろう。だからこれが本当に莉依子が書いたものなのか誰にも証明できないし、何より信じられない。
だけど、確かにこれはここにある。
開いた瞬間、確かに俺が良く知る猫のにおいがした。
莉依子はいつも傍に居た。
泣き虫だった俺の傍にそっと寄り添って、首を軽く傾げて、大丈夫だよ、と言うようににゃあと鳴くんだ。
いつも同じ布団で寝ていた。
そのぬくもりがすごく落ち着いて、気まぐれな莉依子が母親の部屋に行った夜は心細くてたまらなかった。すると、あいつは必ず俺の布団に戻ってきた。
あんなにずっと、一緒に居たのに。
俺が高校に入った頃には、莉依子はあまり家の中を動き回らなくなった。猫の事には詳しくないが、ガキの頃から一緒に居たんだ。あの時にはもうかなりの老描だったのだろう。
動けなくなっていく莉依子を見るのが辛くて、現実を直視することが出来なくて、俺は以前より名前を呼んだり莉依子の身体に触れたりする回数が減っていったと思う。
……あんなにずっと、一緒に居たのに。
俺のルーズリーフから千切られた紙。それを持つ左手がわずかに震え、右の手のひらで目を覆った。
何が何だか俺には分からない。
だけど、確かにこれはここにある。
莉依子の字なんて、見たことがない。
俺の知る莉依子は猫なんだ、書けるわけがないだろう。だからこれが本当に莉依子が書いたものなのか誰にも証明できないし、何より信じられない。
だけど、確かにこれはここにある。
開いた瞬間、確かに俺が良く知る猫のにおいがした。
莉依子はいつも傍に居た。
泣き虫だった俺の傍にそっと寄り添って、首を軽く傾げて、大丈夫だよ、と言うようににゃあと鳴くんだ。
いつも同じ布団で寝ていた。
そのぬくもりがすごく落ち着いて、気まぐれな莉依子が母親の部屋に行った夜は心細くてたまらなかった。すると、あいつは必ず俺の布団に戻ってきた。
あんなにずっと、一緒に居たのに。
俺が高校に入った頃には、莉依子はあまり家の中を動き回らなくなった。猫の事には詳しくないが、ガキの頃から一緒に居たんだ。あの時にはもうかなりの老描だったのだろう。
動けなくなっていく莉依子を見るのが辛くて、現実を直視することが出来なくて、俺は以前より名前を呼んだり莉依子の身体に触れたりする回数が減っていったと思う。
……あんなにずっと、一緒に居たのに。