ずっとずっと、一緒に居た。

 暗い所と高い所が苦手で、男らしくない外見が大嫌いで、さらに泣き虫の自分が大嫌いだった。そんなガキだった頃から、俺の傍らには莉依子が居た。
 寝つきが悪かった俺が、そのぬくもりと一緒に布団に入るとあっという間に眠りに落ちた。

『龍とりいこちゃんは仲良しね。兄妹みたい』
『そろそろりいこちゃんの方がお姉さんになるかな?』

 年月を重ねていく中、周囲の大人たちがそんな風に言っていたのを覚えている。誰もかれも、俺と莉依子を交互に見遣っては、微笑ましそうに目を細めていた。

 ……莉依子、という漢字を当てて呼んでいたのは俺だけだ。

『僕の名前には漢字があるから、りいこにもつけてあげるね』

 小学校高学年に差し掛かった頃だった覚えがある。きっかけはもう忘れたけれど、図書カードか何かで国語辞典を手に入れた時だ。
 知らない言葉や漢字を知ることが楽しくて、あらゆるものに漢字を当てていた。

 その中のひとつが、莉依子だ。

 由来なんてとうに忘れた。多分当時家にあったジャスミンからとったものだろう。
 目を開けてベルトの端をつまみ、目の前に垂らしてみる。