離れて久しかったけれど、何も変わっていないぬくもり。
 
 3日間一緒に過ごした龍は、大人になっていた。
 友達とお酒も飲むし、何だか難しい勉強もしていた。自分の将来について具体的に考えを重ねるほど、大人になっていた。
 それでも変わっていない龍のにおいとぬくもりが、莉依子の眠りを誘う。自然と瞼が落ちていく。

「……りゅう……?」
「ん?」
「ありがとね……お願い聞いてくれて……」
「いやいいけど……何だよ、何かあったのかよ。親と喧嘩でもしたのか? 俺に説教かましといて」
「お母さんもお父さんも大好きだよー……りゅーとそっくりで……」
「そりゃ俺の親だ。大丈夫かおい、マジで何かあったとか」
「何もないよー、りゅーに会いたかっただけ……あと……」
「あと?」

 上から注ぐ龍の声すら、今の莉依子には眠り薬だ。
 意識を完全に手放してしまう前に、龍の背に手を回す。そして、ぎゅ、と出来る限りの力を込めた。

「な」
「もう一度、こうやって一緒に寝たかったんだー……」

 龍が何か言っている。けれどもう、莉依子の耳には入ってこない。

「龍ちゃん、大好き……」

 その一言を最後に、莉依子の意識は落ちていった。