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 すぐそばに、龍のぬくもりを感じる。
 温かさだけじゃない。ベッドの中は、大好きな龍のにおいで満ちている。
 においだけじゃない。身体中に龍の気配を感じる。想い出でも想像でもない、本物の龍の感触がする。

「あったかい……幸せ……」

 漏れた呟きに、目の前にある胸が息を吸ったのか大きく動き、頭上からため息となって現れた。

「……なんでこうなった」

 続いて聞こえてきたのは、龍の声。

「なんでって、龍がいいよって言ってくれたから」
「わかってるわかってる、嫌ってほどわかってる」
「ため息ばっかりついてると、幸せが逃げるってお母さんが言ってたよ。最近の龍、ため息がすごい多い。よくない」
「誰のせいだと思ってんだよ」
「えへへへ、ごめんね。でもありがとう」
「好きにしろ」

 どんなに悪態をつかれても、莉依子が気にすることはない。だって、龍は願いを叶えてくれたのだから。
 昔みたいに龍と一緒に眠ること。それが今、莉依子が心から叶えたい願いだった。そのためにここに来たといっても過言ではない。

「……大きくなったね、龍」
「は?」
「一緒に寝てた頃は、もっと小っちゃくて可愛かったのに」

 龍の胸元に頬を寄せて、莉依子は続ける。

「でもにおいは変わってないね」

 同時に軽く頭をはたかれ、そのままわしゃわしゃと大きな手で頭を撫でまわされた。