賢人は、ユーモアのある人だ。

「それで?さっき、何を聞こうとしたの?」

「ああ……この指輪、いつ貰ったのかなって。」

「……プロポーズした日って事?」

「そう、なるわね。」

すると賢人は、今までが嘘みたいに、黙ってしまった。


俯いて、悲しそうな顔をしている。

「賢人?私、何かまずい事でも聞いた?」

「いや。プロポーズの日を聞く事がまずいなんて、思ってないけど……」

「けど?」

「何で、そう言う事聞くのかなって……」

私は視線を、前後左右に動かした。

「あの……」

「うん。」

「賢人の髪型が、夢と違っていて……」

それを聞いた賢人は、サイドテーブルにあった鏡を見た。

「ああ、髪伸びたのか。」