机の上に並べられた丸められた複数のティッシュを手にしたかと思えば、彼女は教室の隅に追いやられているごみ箱に向かって投球。
複数投げたのに入らなかったのはわずか1つ。
「おー すっげえ」
「何言ってんの。1つ入らなかったから、失格」
でもすっきりした、そう呟いた彼女は立ち上がる。
「帰ろーぜ。今日は金曜日!明日は休み!」
「そーだね。助かったなぁ」
彼女は先ほど零れた1つを拾い、ごみ箱の中へ入れる。
「広樹、ありがとうね」
「購買の焼きそばパンでいいよ」
「はいはい、りょーかい」
歩き出した彼女の後ろ姿はいつもの背筋がピンとした佇まいで、クールなそれ。
うん、俺の知る白崎和美。
ひとり納得して、彼女を2歩後ろから追いかけた。
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あの子と目が合ったとき、私に向けた瞳は嫉妬のそれだった。
なんだ、両想い。
しぶとく行くまでもない提示された結果に反抗できる余地がなかったから、
行き場のない想いを口にできる機会があったから、
次こそいい恋愛ができると確信できた。
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広樹と白崎
クラスメイト以上、友達以下