食事を終えて、すでに氷が溶け切ったお冷やを一口。

注文したネギトロ丼は綺麗に完食。デザートはつけなくて正解だった。


「そろそろ行くね」

彼氏からのもうすぐ着くというメッセージ通知を見て、代金を押し付けるように置いて席を立つ。

財布は片付けた、スマホも今手に持っている。

忘れ物はもうない。



「それじゃあ……元気で」


最後に一言。そこでやっと彼の顔を正面から見ることができた。








ファミレスを出て、スマホを取り出す。 

出入り口のところで待ってると彼氏に一言メッセージを送信。


考えるよりも指が先に動いて、個人トーク画面からトーク履歴一覧画面へ戻る。

その流れで、彼氏とのトークの1つ下に残るトークを選択。



福山翔。

5行に渡る簡潔なメッセージ。


それに「いく」と2文字返した後、返信はなく既読だけがついていた。


画面上部には未だ"友達に追加しますか?"という選択画面。



「……うん、いい時間だった。ーーーに。」



"友達に追加しない"








私の元気で、という言葉に、

「そっちこそ」

そう告げた彼は清々しい表情をしていた。













こうして2人で会うなんてたぶんもうないと思うから言うけど、

「お幸せに。」

お互いが前を向いているから、かけられる言葉。
















***

福山と熊沢
きれいな元カレと元カノ
友達に戻らない2人